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ひろせ まな -Mana Hirose-
 

​「夜の温度」/410×318mm

 

Web Gallery 常設展示室 にて作品取り扱い中

 今展は当画廊では2回目となるひろせまなさんの個展となります。ここ数年「夜」をテーマに描き続けているひろせさんですが、今回もまた夜の作品をお預かりしました。描かれたモチーフや場面、色調なども以前の作品から引き続いて同じような内容なのですが、今回の新作を拝見したときに受けた印象は前回の個展時とは大きく異なるものでした。画面に描き出された「夜」の表現はあくまで以前の作品から地続きではあるのですが、作品から放たれる空気はある意味で夜の空気そのもので、絵と対峙した時に真っ先に反応したのは自分の頭の中の記憶よりも肌感の方が早かったように思います。描かれたものは「絵」を超えるかのように私に「夜」を感じさせ、優しく可愛らしい外観の奥から冷たくも温かい「夜の温度」がにじみ出ているように思いました。

 ひろせさんにとって「夜」というものは今日から明日へと「繋いでいく時間」というイメージがあるそうで、言葉での表現は微妙に変わっていても前回の個展「よるのわたりに」からそのイメージ自体はあまり変わっていないのだと察します。ですが今回の作品を見た時に「夜」に対するひろせさんの眼差しの在り方はきっと少しずつ変わってきたのだろうと感じました。以前よりもより深いところまで夜を見つめ、潜り、自分の中へと落とし込んだようなその表現は、まるで「ひろせさんそのものが夜になった」かのようでもあり、その絵の中にはひろせさんらしい「絵柄」による外観上の独自性よりもずっと強い、「ひろせまな」という一人の人間が持つオリジナルな価値観や哲学から成る個性が確実に脈を打ち始めたように思います。

 自分なりの視点をもって物事を捉えることができるのであれば、どんなテーマやモチーフも自分だけの独自性を持って表すことは可能だと思います。ひろせさんの描く夜はひろせさんの眼差しでしか捉えられない夜であり、私はそこに表現者として唯一無二の強い独自性を見た気がしました。新しい扉をひとつ開け放ったような、まだ若い作家の現時点での等身大の世界観。ゆっくりと着実に何かが萌芽し始めたようなその表現をぜひご覧くださると幸いです。

​(2023年 ひろせ まな個展「夜の温度」によせて)

ひろせ まな -Mana Hirose-

【経歴】

岐阜県出身。

名古屋芸術大学 美術学部 美術学科 洋画コース卒業。

 

 

【おもな展覧会】

 《2021年》    

「きょうのおわりに」(三人展/iroiro./愛知)

「それからね、」(三人展/企画画廊くじらのほね/千葉)

「よるのわたりに」(個展/企画画廊くじらのほね/千葉)

「絵と暮らす」(グループ展/企画画廊くじらのほね/千葉)

 

 《2022年》    

「きょうのおわりにvol.2」(二人展/iroiro./愛知)

「梅雨色降る頃」(グループ展/企画画廊くじらのほね/千葉)

 

 

ほか、多数グループ展に参加。

© 企画画廊くじらのほね
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