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浅見 哲一 -Norikazu Azami-
 
 

​「夜の終わりに」/F3号(22×27.3cm)

 

Web Gallery 常設展示室 にて作品取り扱い中

 我が家に浅見さんの絵が初めて来たのは2019年のことだったと思います。「ツキノヒカリ」というF3号の絵で、夜の青い薄明りの中に皿に乗った魚とワイングラスが置かれた卓上が描かれており、浅見さんのことをよくご存知の方であれば馴染み深いモチーフかと思います。生活する中で目に入りやすい場所にその絵を掛けてから早くも5年近くが経つわけですが、つい最近になって何気なくその絵に目をやったときに、急に焦点が合ったかのように絵の魅力を垣間見た気がしました。もちろん初めて「ツキノヒカリ」と出会った展覧会でも「良いなぁ」と思ったから購入を決めたわけですが、そのときに感じた魅力とはまた何か違うものを見るような感覚で、同じ物でも見る角度を変えるだけで全く別物のように見えることがあるかと思いますが、まさにそれに近しい感覚で「絵の魅力」というカタチを持たないものが、急にこれまでとは違う表情をもって現れるかのようでした。「この絵、こんなに良い絵だったんだ。」と思わず独り言をつぶやいてしまうくらいにその日のその絵は美しく、馴染みきったこの部屋に改めて腰を掛け直すかのように、初めて味わう魅力を私に与えてくれました。
 何かと忙しない現代では、様々な物事が大した時間をかけられることもなく瞬発的に価値を判断され、慌ただしく次々に消費されていきます。そのスピード感に慣れてしまった人々にとって、深い静けさと大きくゆったり歩くかのような空気を持つ浅見さんの絵は、もしかしたら新鮮な印象を受けるかもしれません。時間をかけて心の奥底からゆっくりと汲み上げてきたような色彩と、それに呼応するように描かれた線や面。それらが組み合わさって出来上がる一枚の平面世界の中では、深夜に降り注ぐ月の光のような魅力が立ち上がります。たっぷりとした時間をかけて眺めないとあまりに勿体ないそれは、優しく無理のない速度をもって見る人の心に何かを語りかけてくるようです。時を経て始めて見えてくる物事は人の生涯の中で多く存在するものと思います。浅見さんの絵もまた、時を重ねるごとにその魅力が汲み上げられ続けるものだと私は思います。 

​(2024年 浅見哲一個展「夜を超えて」によせて)

浅見 哲一 -Norikazu Azami-

 

【略歴】

1953年   埼玉県秩父市に生まれる

1983~89年  現代童画展出品(新人賞・85年会友佳作賞)

1988年   上野の森美術館絵画大賞展出

1989~03年  自由美術展出品(94年佳作作家賞) 

                       個展(銀座 ギャラリー昂)

1991年   日本画廊協会展出品(銀座 セントラル美術館)

       個展(銀座 ギャラリーミハラヤ)

1992~00年  東京展出品

1993年   詩画集「独想曲」出版 出版記念展(秩父 木亭)

1999年   個展(日本橋 リビングアートかねとう)

2003年   個展(深谷 ギャラリー彌平)

2004年   個展(京橋 金井画廊)

2005年   個展(金井画廊)

2006年   個展「浅見哲一小品の世界」(金井画廊)

           「ぼくらの浅見哲一展」(京橋 ドゥ画廊)

2007年   個展(金井画廊)

2008年   個展(ギャラリーしらみず美術)

2009年   個展(金井画廊)

2010年   個展(ギャラリーGabo)

2011年   個展(金井画廊)

2013年   画集「夜の終わりに」出版

      個展「画集出版記念・30年の歩み展」(金井画廊)

2015年   個展(金井画廊)

2017年   個展(金井画廊)

2019年   個展(金井画廊)

​2021年   個展(企画画廊くじらのほね)

​2022年   個展(新宿小田急百貨店)

2022年   個展(企画画廊くじらのほね)

 

現在    無所属 秩父市在住

 

ほか、グループ展多数参加。

 
 
© 企画画廊くじらのほね
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