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伊山 桂 -Kei Iyama-
 
 
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​「赤い帽子」/F4号(33.3×24.2cm)

 

Web Gallery 常設展示室 にて作品取り扱い中

 ちょうど一年前にあたる2022年8月、当画廊では初めてとなる伊山桂さんの個展を開催させていただきました。開催する前は私の周囲で伊山さんのことを知っている方はほとんどおらず、だからこそ企画者としてはわくわくする気持ちが止まらなかったことを覚えております。この作品を見た時にご来廊くださる方がどんな反応を見せるのか、流行りの絵柄だけを追いかける人には何も拾えないかもしれないけれど、自分の軸に従って絵を見てきた人にはかなりの衝撃があるのではないかと、そんな悪巧みのような気持ちを交えながら作品を並べておりました。結果として私の小さな想像をはるかに超えた反響があり、実に多くの方がその表現を見て真っ直ぐな驚きを持ってくださり、結果的に作品は全てご売約に至りました。絵柄の雰囲気から60代くらいのベテラン作家と間違われることも少なくなく、諸々のギャップを含んだ驚きは多くの人に伝わったようで、私自身も全く知らないうちに銀座の一部界隈で話題になっていたということを後から聞いたほどでした。

あくまで一回個展を開催したのみなのでまだ分からないことも多分にありますが、伊山さんの作品は若い方から人生の大ベテラン世代まで幅広く受け入れられた印象があります。モノとしての作品の仕上がりがどうこうと言うよりも、伊山さんの魅力の根幹はむしろその動機にあると私は思います。伊山さんは自分が生きてきた盛岡という場所を見ることで大きな世界の流れを感じ、土地を歩き、人と交わり、先代の巨匠作品に触れ、そして自然に触れることで多くのことを学び続けています。伊山さんの年齢だと同世代は大学生も多いと思うのですが、伊山さんにとっての大学はまさに盛岡というフィールドであり、何かを求めて自らそこへ入り学び得たものはきっと沢山あるのだろうとその姿勢から感じます。そうやって受け取ったものへ返事をしていく手段が伊山さんにとっての制作という行動であり、出来上がるものはその時の伊山さんの応答が結果として形を得たものになるのだろうと思います。その応答には現時点ゆえの限界さという要素が常に含まれると思いますが、同時に今の伊山さんだから出せたものでもあり魅力であることにも変わりません。

表現者としてというより前に、私は人間として伊山桂さんが好きです。外界を丁寧に見つめ、そして貪欲に自分の中に引き込み、さらなる新しいものを探すその姿勢を見ていると「人間」というものへの尊敬と期待をまだ忘れてはいけないと、そんな気持ちにさせられます。

 

(2023年 伊山 桂 個展によせて 飯田未来子)

伊山 桂 -Kei Iyama-

2001年岩手県盛岡市生まれ。 

自然と人の関係性を考えることをテーマに美術実践を行っている。

人間の持つ「美術」「絵を描く」といった行為や起源に注目し、フランス「ラスコー 洞窟」「ア ルタミラ洞窟」など現在最古の描写痕にインスピレーションを受けた cave シリーズと呼ぶ平面作品を制作。

今展ではHOLEという以前から制作していた作品シリーズを初めて発表する。このシリーズの制作は非常に身体的であり、歩くことやものを掴むこと、見ること、聞くこと、いろいろな経験から現れる形を様々な画材で描写したものになる。

こうした実践的なシリーズは思考のために繰り返す必要があるとし、連続した作品制作を行っている。活動はこのように反復、往復を基本としているが、結果それらが徐々に重なり合わずぶれていくところに自然な人間性、野生性を見出している。

 

【展示経歴】

2020  年 「RELATIONSHIPs」彩画堂 S-SPASE / 盛岡

「la eclosión」ギャラリーAN / 盛岡

「Cyg SELECT 2020」Cyg art gallery / 盛岡

2021  年 「伊山桂個展 太陽の正位置」implexus art gallery / 盛岡

「Art Field Iwate 2021」盛岡市中央公園 / 盛岡 

「Cygnus parade」Cyg art gallery / 盛岡

2022  年   「Future Artist Tokyo 2022」東京国際フォーラム / 東京

「伊山桂個展 遠影のドキュメント」 implexus art gallery / 盛岡

「伊山桂個展 伸びる真空管」 企画画廊くじらのほね / 千葉

2023  年 「伊山桂個展 かわらないトーン おかえりのターン」 / 彩画堂S-space / 盛岡

 

【受賞】 

2021年 公募展「第7回 F0公募展ミニアチュールzero 2021」大賞

2022年 公募展「第8回 F0公募展ミニアチュールzero 2022」マルマン賞

© 企画画廊くじらのほね
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