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浅見 哲一 -Norikazu Azami-
 
 
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​「HOUSE」/F6

 

 暗闇の中で動くことをあまり得意としない人間にとって、夜という時間帯は決して日常的ではありません。そのため夜という世界へ抱く感情(不気味さ、恐怖感、あるいは不思議な魅力や憧憬など)はどこか自分とは切り離された世界だからこそ抱くものが多いかもしれません。視覚を頼りに動くことが多い私たちにとって物が見えづらい夜に活動することは危険でもあるため、多くの人は夜という時間帯を安全な場所で眠る時間として過ごします。しかし私たちが眠っていて知らないだけで、夜には夜の日常というものがあることを、今回の浅見さんの作品を見てはたと気付かされました。

 「夜行性」という言葉があるように夜に生活の基盤を置く動植物は少なくありません。暗い道を人間が懐中電灯を照らしながら恐る恐る歩く横を、野良猫が目を光らせながら颯爽と走り抜けるのを見た時、夜という時間はきっと彼らのテリトリーであり、人間はその中に入ることができない生き物なのだろうと感じたことがあります。暗闇に生物として対応できない以上はそのテリトリーの外側から夜を眺めることしかできず、だから夜という世界は私たちにとってどこかよそよそしい世界なのかもしれません。

 ですがそのテリトリーの境界線は越えられなくても、その外側から夜の世界をつぶさに眺めることは出来ます。浅見哲一さんという画家はつまりそういう視点を持つのだろう、と作品を拝見していて思いました。描かれるモチーフは昼間でも出会うことのあるものが多いですが、それらの表情は明らかに昼間と異なるものがあります。ですがその表情に何か特別な意味合いは無く、あくまで自然体として描かれているのを見ると、夜には夜の在り方や呼吸の仕方があり、それを平常としている世界もあるということを教えられるようです。浅見さんはそんな「平穏な日常」としての夜を眺め、絵にしてきたのではないかと思います。

 

 浅見さんの描く夜の世界はとても静かで謙虚な美しさがあります。そこには穏やかな空気が流れており、描かれる猫や鳥などにはのびやかさを感じることもあります。人間にとって非日常な夜は彼らにとっては過ごしやすい日常なのです。そんな夜の平穏の中に、浅見さんは独自の美を見出したのではないかと察します。

​(2022年浅見哲一個展「深夜呼吸」によせて)

浅見 哲一 -Norikazu Azami-

 

【略歴】

1953年   埼玉県秩父市に生まれる

1983~89年  現代童画展出品(新人賞・85年会友佳作賞)

1988年   上野の森美術館絵画大賞展出品

1989~03年  自由美術展出品(94年佳作作家賞) 

                       個展(銀座 ギャラリー昂)

1991年   日本画廊協会展出品(銀座 セントラル美術館)

       個展(銀座 ギャラリーミハラヤ)

1992~00年  東京展出品

1993年   詩画集「独想曲」出版 出版記念展(秩父 木亭)

1999年   個展(日本橋 リビングアートかねとう)

2003年   個展(深谷 ギャラリー彌平)

2004年   個展(京橋 金井画廊)

2005年   個展(金井画廊)

2006年   個展「浅見哲一小品の世界」(金井画廊)

           「ぼくらの浅見哲一展」(京橋 ドゥ画廊)

2007年   個展(金井画廊)

2008年   個展(ギャラリーしらみず美術)

2009年   個展(金井画廊)

2010年   個展(ギャラリーGabo)

2011年   個展(金井画廊)

2013年   画集「夜の終わりに」出版

      個展「画集出版記念・30年の歩み展」(金井画廊)

2015年   個展(金井画廊)

2017年   個展(金井画廊)

2019年   個展(金井画廊)

​2021年   個展(企画画廊くじらのほね)

 

現在    無所属 秩父市在住

 

ほか、グループ展多数参加。

 
 
© 企画画廊くじらのほね