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東影 美紀子 -Mikiko Higashikage-
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​「虹のカーテン」/410×320mm

今展に出展してくださる作品の写真が東影さんからメールで届いたとき、そのラインナップを見て私は何となく舞台を思い出していました。柔らかかったり激しかったり、優しかったり鋭かったり、色々な表情の作品は各々が独自のキャラクターを持っている様で、笑っている者がいれば泣いている者もいる、歌っている者がいれば叫んでいる者もいる、そんな印象が強くありました。しかし作品それぞれが独立した雰囲気にも関わらず、やはりどれも東影美紀子さんという一人の作家の作品であることがよくわかる一貫性を持っています。個性豊かな役者たちは「東影美紀子」というひとつの大きな舞台の中できらきらと輝いているのだと思うのです。

 もともと銅版画を中心に作品を手掛けていた東影さんですが、自身を「銅版画家」とは縛らず、身に付けた技法や経験を生かしながら感性の赴くままに様々な形へと作品を発展させてきました。その変化は実に凄まじいものがあり、ジャンルから使用画材までもがらりと変えてしまう大胆さには驚かされるばかりです。しかしそれによってどんなに表面上での作風が様変わりしてしまっても、その表現の奥底にはまぎれもなく東影さんによる作品であることが感じられる、力強い一貫性が存在します。それは作家の人間性から滲み出る感性であり、表面的な画材の形質や技法、ジャンルの変化なんかでは決して揺るがない究極のオリジナリティであり自己表現です。私はそれこそが真に「スタイル」と呼べるものではないかと思います。

 表面的な作風をスタイルと思い込み、同じ様な作品を繰り返し手掛けることでコピーのコピーが劣化していく様な悪循環に陥ってしまう作家も多い昨今、「自分」という軸にしっかり掴まり、本当の意味で自由に表現世界の中を駆け抜けているイメージが東影さんにはあります。揺るぎなく真っ直ぐに息吹を与えられた作品が、お客さんによってひとつひとつ鑑賞される様を想像すると、私は役者が壇上からお客さんに挨拶をする様を連想しました。もし作家が舞台監督なのだとしたら、作品はその世界を他者に伝えるアクターなのかもしれません。3週間だけ広がる小さな世界、もしハッと目を見張る表現を見つけたのならぜひ心で拍手をお願いします。

​(2021年個展「カーテンコール」によせて)

 

東影 美紀子 -Mikiko Higashikage-

 

【経歴】

1974年生まれ 茨城県出身

2005年  武蔵野美術学園 メディア表現科 版画コース 研究課程 修了

2006年  「第10回 若き画家たちからのメッセージ展」(買上賞)すどう美術館

【個展】

2007年 「第10回 若き画家たちからのメッセージ受賞者展」 (個展)すどう美術館 東京

2013年 「東影美紀子 銅版画展」 あるぴーの 大宮高島屋 埼玉

    「東影美紀子展」 Gallery子の星 東京
2014年 「東影美紀子 ちいさな世界展」 ギャラリー多羅葉 埼玉

    「森のカケラ展」 Gallery子の星 東京

2016年 「東影美紀子展 ふとした思い」 ギャラリー島田 兵庫

2016年 「かけらあつめ」あるぴーの銀花ギャラリー 埼玉

2018年  「morinosu/東影美紀子展」Gallery子の星 東京

2019年  「東影美紀子展」Gallery子の星 東京

    「鳥に花に・東影美紀子展」あるぴーの銀花ギャラリー 埼玉

他多数グループ展に参加。

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