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高橋 亜弓 -Ayumi Takahashi-
 
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​「かみさまのけもの」/51×17.5mm

 

今回高橋さんからDM候補としていくつか作品の写真を送ってもらいそれらを並べて見ていたときに、ふとどの作品もモチーフは異なるけれどその舞台は同じ地平上にあるのではないかと思いました。下図の「浮かぶ森」という作品を拝見したときに「何だか一人で楽しそうだなぁ」と思ったのですが、その後別の作品を見た時、それらの作品世界に何となく繋がりを感じたからです。それでいてこれらの作品モチーフたちは互いに関与せず、各々一人遊びを楽しんでいるようで、今展のタイトルにもなった「Parallel play」つまり「平行遊び」(同じ空間に複数人いながら互いに交わらず各々一人で遊んでいる様子を指す言葉)という言葉が浮かんだのでした。

 現実世界に生きる私たちは自然界の法則に従った形で普段存在しています。逆に言えば自然界の法則に反する形では存在できず、この法則からはみ出る事象は「不可能」なこととなり実現させることはできません。ですが「想像」という思考的な行いができる生き物は、その内面世界の中で自分だけの非現実世界を創ることができます。例えば現実世界では空を飛べなくても想像の世界では飛ぶことが可能になります。そういう風に内面における想像世界は現実の自然界の法則を無視することができ、まさに「オリジナル」な自分だけの世界を創りあげることができると言えます。この想像力による内面世界の構築は割と蔑ろにされがちですが、実は「個人」を形作っていく上で非常に大切な世界で、この世界を持つことで自分と他人を区別し「自己」を育てていくことができるものと私は考えております。そしてこの内面世界は「想像」ができる生き物の数だけ存在していると言え、もしこの内面世界を個が持つ「小さな宇宙」と呼べるのであれば、この世界は現実の大きな宇宙の中に小さな宇宙が無数に点在していると見ることができます。それはちょうど夜空に輝く無数の星のような景色かもしれません。

 高橋さんの作品から「Parallel play」を感じた時、まさに先述のようなイメージが広がりました。様々に不思議な姿をしたモチーフが同空間にいくつも存在していて、それらは互いに付かず離れず点在し、各々が自分の宇宙を大切にしながら遊んでいる…むしろそれは「存在する」ということそのものが「遊び」と言わんばかりです。どこか楽しそうで泣きたくなるくらいの自由をそこに感じたとき「あなたはあなたのままでいい。そのまま自由に生きればいい」ということを言われた気持ちになりました。無理矢理に他者と交わらず、小さな宇宙の中で一人で遊びたいときもある、それでも大きな宇宙は何も変わらない。今展はそんな尊い当たり前の事実を教えてくれそうな予感がします。

(2021年個展「Parallel play」によせて)

 
 
 
 

高橋 亜弓 -Ayumi Takahashi-

多摩美術大学版画科卒業。

在学中より木版の油性凹版を用い、女性体でもなく、男性体でもない狭間のもの達のかたちを描く。

現在木版を中心にドローイングなど活動。

    

【略歴】

[2013年]

「FIELD OF NOW 2013」(銀座洋協ホール / 東京)

ワークショップ(gossip / 東京)

[2014年]

「Art Fair」(ベイルート)

[2015年]

「種々展」(円鳥洞画廊 / 東京)

「高橋亜弓×泉谷かおり」(gossip/東京)

[2016年]

「とこよ」新宿眼科画廊 個展

「INSIDES」 MDF GALLERY グループ展

[2017年]

「辺にて」新宿眼科画廊 個展

マイリトルポニーコラボ企画 「MY LITTLE PONY TOKYO ART GALLERY」 グループ展

アラブ首長国連邦 Art Hub にて1ヶ月の制作、展示 レジデンシー

[2018年]

「標本の庭」アートコンプレックスセンター 個展

「colors of spring」 Art Hub gallery (ドバイ)

abu dhabi アートフェア(アブダビ)

[2019年]

「ちいさい呼吸」アートコンプレックスセンター 個展

「透きとおる2」ワイアートギャラリー 個展

[2020年]

「透きとおる3」ワイアートギャラリー 個展

BS-TBS「むかしばなしの小部屋」アニメーション担当(語り:夏木マリ)

[2021年]

「片隅の神話」企画画廊くじらのほね 個展

 

他多数グループ展に参加。

 
© 企画画廊くじらのほね
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