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高橋 亜弓 -Ayumi Takahashi-
 

​「架空の部屋」/30×30cm

 

 作品に対して「イメージカラーを持つ」という表現は少し変かもしれませんが、私の中で高橋亜弓さんの作品は「白」というイメージが強いです。これは高橋さんの作品が白色ばかりという意味ではなく、作品を見た時に受ける印象をもし色で例えるとしたらという話になります。

 今展のタイトルである「WHITE DREAM」はその印象から私が名付けさせていただいたものですが、タイトルを考えるにあたって「白」を表す英語を少し調べてみると「white」以外にも沢山の表現があるようでした。例えば「ivory:淡く黄みがかったやや灰色を帯びる白」「eggshell:黄みがかった白」「milky white:不透明に濁った白」など微妙な見え方の違いや色感に応じた様々な「白」を表す言葉が出てきました。確かに背景色は白っぽい色が多い高橋さんの作品ですが、目で見える色感の「白」を表すのであれば多分「ivory」や「eggshell」あたりが近い気がします。

 ですが作品を見ることで感じる「イメージカラー」としての「白」と照らし合わせるとどうしても違和感が消えず、さらに詳しく調べてみた時に「white」という単語は「白」のほかに「透明な」「無色の」という意味を表す言葉でもあることがわかりました。このことを知った時に私の中で何かがストンと腑に落ち、今回「white」という言葉を積極的に使ったタイトルを作りたいと思った次第です。同時にこの個人的な体験は高橋さんの作品世界に対して私が漠然と持っていた「白」というイメージの正体が少しわかったような出来事でもありました。

 初めて高橋さんの作品を見た時から私はその中に現実世界とは異なる独自の宇宙が広がっている気がしており、その宇宙世界は徹してシンプルであるように感じています。木版画やコラージュなどで描き出される不可思議な雰囲気やモチーフは見る人に色んな印象を与えるかもしれませんが、創り手である高橋さんからすればそれらは自分の中から“ただ”出てきたもの、それに尽きるのではないかと察します。余計なノイズが無い無色透明なイメージは、特別な意味合いを持たないからこそ澄んだ強い美しさを持つことがあると思いますが、それは丁度生まれたての赤ん坊がただただ尊さを感じさせることに似ているかもしれません。私が高橋さんの作品から見る世界にはそんな魅力がたゆたうように満ちている気がするのです。(2023年高橋亜弓個展によせて 飯田未来子)

高橋 亜弓 -Ayumi Takahashi-

多摩美術大学版画科卒業。

在学中より木版の油性凹版を用い、女性体でもなく男性体でもない狭間のもの達のかたちを描く。現在木版を中心にドローイングなど活動。

    

【略歴】

[2013年] 「FIELD OF NOW 2013」(銀座洋協ホール / 東京)

      ワークショップ(gossip / 東京)

[2014年] 「Art Fair」(ベイルート)

[2015年] 「種々展」(円鳥洞画廊 / 東京)

     「高橋亜弓×泉谷かおり」(gossip/東京)

[2016年] 「とこよ」新宿眼科画廊 個展

     「INSIDES」 MDF GALLERY グループ展

[2017年] 「辺にて」新宿眼科画廊 個展

      マイリトルポニーコラボ企画「MY LITTLE PONY TOKYO ART GALLERY」グループ展

[2017年] アラブ首長国連邦 Art Hub にて1ヶ月の制作、展示 レジデンシー

[2018年] 「標本の庭」アートコンプレックスセンター 個展

     「colors of spring」 Art Hub gallery (ドバイ)

       abu dhabi アートフェア(アブダビ)

[2019年] 「ちいさい呼吸」アートコンプレックスセンター 個展

     「透きとおる2」ワイアートギャラリー 個展

[2020年] 「透きとおる3」ワイアートギャラリー 個展

       BS-TBS「むかしばなしの小部屋」アニメーション担当(語り:夏木マリ)

[2021年] 「片隅の神話」企画画廊くじらのほね 個展

     「Parallel play」企画画廊くじらのほね 個展

[2023年] 「WHITE DREAM」企画画廊くじらのほね 個展

​他、多数個展・グループ展に参加。

© 企画画廊くじらのほね
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