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小笠原 亮一 -Ryoichi Ogasawara-
 
 
 
 

​「パリ遠望」/ M20号(50×72.7cm) 

 
 
 

Web Gallery 常設展示室 にて作品取り扱い中

 M20号というやや大き目の画面に描かれた「パリ遠望」という作品― 今回のDMにも掲載させていただいたこちらの作品は文字通り見晴らしの良い位置からパリの街並みを広く眺めた様子が描かれています。細かな建物の形やそこを行き交う人々の描写ははっきりとは無いものの、その絵には街が今まさに「生きている」かのような気配があると共に、開けた高所で感じられるひんやりとした少し強い風が本当に吹いたかのような印象を覚えたので、初めて拝見した時は思わず感嘆の声がこぼれました。その他にもパリの街角やセーヌ河付近の風景画、ハルジオンやパンジーなど草花を描いたもの、小笠原さんが実際に飼われている出目金など、今展も実にさまざまな作品が届きました。そのどれをも見て改めて思うのは、小笠原さんが手がけた作品は「絵」というモノを超えてしまったかのような存在感で満ちているということです。描かれた姿形には写実のように表面的なリアリティは残っていないにも関わらず、思わず画面に手を伸ばしてその花びらに触れてみたくなるような、あるいは絵の中の路地へとその気になれば飛び込めてしまいそうな、絵が見る者に与える「実存性」とも呼べそうなリアルな感覚には、現実世界でそのモチーフを意識的に眺めた時のように明瞭な強さがあるように思います。
 しかし小笠原さんの絵の本当の美しさは、当たり前のようですがやはり小笠原さんのまなざしを通して捉えられたモチーフが描かれているという点にあると思います。存在へのリアルな描写力という点においてのみでも十分に優れたものがあることは前提に、小笠原さんはその卓越した技量を下敷きにした上で自身が見つめたモノたちへの想いも織り込みながら画面に絵具を乗せているのだと感じます。描かれた小さな花の愛らしさと底知れない力強さや、曇天の街から感じられる何とも言えない寂しさとそれでも紡がれる営みのへの尊重。人生の中で出会い見つめてきたモノたちから小笠原さんが受け取った印象こそが、小笠原さんの絵に唯一無二の美しさを与えているのだと私は思います。

 

(2023年10月 小笠原亮一個展によせて)
 

小笠原 亮一 - Ryoichi Ogasawara -

岩手県釜石市に生まれる。

1971年 故、樋口加六先生に師事(独立美術会員)     
     造形展出品(造形画廊主催)  
     渡仏 
1983年 外遊(スペイン・ポルトガル) 
1985年 外遊(ニューヨーク) 
1994年 「基の会」結成、代表 
1995年 「基の会」第2回展(埼玉県立近代美術館)に於開催 
     銀座清月堂に於いて銀座展      
     銀座清月堂に於個展 
2004年 実在派展招待出品(銀座展) 以後会員 
     実在派展招待出品(兵庫県あさご美術館展) 
     利根山光人記念大賞展出品 
     第2回「花を描く展」奨励賞受賞 
2006年 第3回深沢紅子野の花美術館「花を描く展」野の花美術館賞受賞(最高賞) 
2007年 上野の森大賞展入選 
     人間賛歌大賞展 奨励賞 
2008年 全国公募IZUBI展入選      
     上野の森美術館大賞展(一次賞候補) 
2009年 上野の森美術館大賞展(賞候補)      
     戸根山光人記念大賞展「祭り」トリエンナーレ北上にて奨励賞 
2010年 上野の森美術館大賞展。  
     ビエンナーレうしく入選      
     美浜美術展
     小磯良平大賞展 
2011年 上野の森美術館大賞展(賞候補) 
2012年 上野の森美術館大賞展      
     ビエンナーレうしく入選 
2013年 第1回損保ジャパン美術賞展FACE 入選 
     上野の森美術館大賞展 入選      
   
 第3回青木繁記念大賞西日本美術展 入選 

現在:基の会代表・実在派会員・日本美術家連盟会員

​他、個展・グループ展多数開催

© 企画画廊くじらのほね
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