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刑部 真由 -Mayu Osakabe-
刑部真由3Fプロムナード.jpg

​「プロムナード」/F3

 

Web Gallery 常設展示室 にて作品取り扱い中

 刑部真由さんの絵を初めて見た時、一番心に残った印象は「色」でした。日常の中にモチーフを求めることが多い刑部さんですが、そこで見つけた美しい場面や物を直接描くというよりは、その時の「光」を捉えることであの豊かな色彩が表れるのではないかと思います。

 日常の中に現れる美しさについて、普段から目にしてはいたもののあえて注目することはなかった物や景色が急に鋭い輪郭を得て静かに起ちあがり、大きな存在感と美しさをもって自分の目に映る時があります。ハッとするようなこの体験は自分の中でずっと未知なものでしたが、最近になって「光」による影響が一因ではないかと考えております。科学的に「物が見える」という状態は物体に反射した光が目を通ることで成り立ち、物に反射した時に光は「色」を生じさせます。その為私たちが外界から目を通して得るものは大量の色情報であり、これによって網膜に像が作られ、脳でその像を処理することで見た物を認識する流れになります。このことから物を見るにあたって光は第一に重要な要素であると言えるのですが、これは同時に光の在り方次第で物の見え方はいかようにも変化するとも言えそうです。

 実際に物を照らすライトの色感によって見える色味は変わりますし、自然光でも天気や季節、時間帯などが変われば雰囲気もまた変わります。そうやって考えていくと常に一定条件の光で物を見ることはむしろ稀で、刻々と変化する光の中で物を見ていることの方が多いように思います。とは言ってもそのほとんどは非常に微々たる違いであることが多く、理論上ではこのように説明出来てもその変化を常に認識することはほぼ不可能でしょう。ですが無限にも近い光のパターンの中で、見る人の心を強く響かせる条件が奇跡的に揃う瞬間というのはあるかと思います。この瞬間こそ先に述べた体験の一因ではないかと推測します。

 

 何をもって美しいと感じるかは人によって千差万別です。そのため「ハッとする体験」を作る光の条件も物を見る人の数だけあると言えます。そんな光と時折出会う中で、刑部さんは画家としてその美しい印象を絵にし続けてきたのではないかと思います。ある瞬間の光によって今まで見過ごしていた景色が突然輝いて見えること、それは何だか気まぐれに光が歌いだす瞬間みたいだなとふいに思いました。そんなことを考えながら刑部さんの絵を見直した時、そこには色として表された音にならない光の歌が、新たな美しさをもって広がっていくような印象を覚えました。(2023年6月 飯田未来子)

刑部 真由 -Mayu Osakabe-

【経歴】
1992 静岡県生まれ
2010 女子美術大学 美術学科 洋画専攻入学 
2012 グループ展「透明な時間展」(アモーレ銀座)
2014 女子美術大学 美術学科 洋画専攻卒業
2016 グループ展 「1026展」(ギャラリーpamina)表参道
2018 美術新人賞「デビュー2018」入選
   「KENZAN 2018」(東京芸術劇場/池袋) 以下毎年出品
   「ヤング・シズオカンアーティスト展」(Gallery Futaba/静岡)
2020 「ヤング・シズオカンアーティスト展」(Gallery Futaba/静岡)
     アートのチカラ(新宿伊勢丹/新宿)
2021 「アッパレ!アートパレード」(静岡松坂屋/静岡)
    「アートガーデン展」(月ノ出画廊/青山)
    「Human Work展」(月ノ出画廊/青山)
         「いい芽ふくら芽受賞者展」(名古屋松坂屋/愛知)
     independent tokyo2021(ポートシティ竹芝/東京)
   「絵と暮らす」(企画画廊くじらのほね/千葉)
2022 個展(エロイーズカフェ/浅草)  
   「女子美術REUNION」(上野松坂屋/東京)
   「梅雨色降る頃」(企画画廊くじらのほね/千葉)
   「いんすぴ」これやん展vol.3(パークホテル東京)
   「いい芽ふくら芽受賞者展」(静岡松坂屋/静岡)
   「~油彩特集~observation」(月ノ出画廊/青山)

​2023 個展「ひかりが歌うように」(企画画廊くじらのほね/千葉)

【収蔵】
ホテル一宮シーサイドオオツカ(千葉県)/ チャームスイート高円寺(高円寺)

© 企画画廊くじらのほね
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